kiss 4 [ 恋と、友情と、]

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そのはずが、 只今。 私のキスフレとの先日の出来事について 質問攻めにされている最中です。 「ええ!!! 舞!! キスフレの家に泊まったの??」 「声大きいよ! モリリン!!」 レストランの ウエイティングルーム兼バーラウンジは、 多くの人でごった返している。 キスフレが世間に浸透してるかといえば、 まだまだマイノリティのはず。 なっちゃんやモリリンのように、 受け入れ難い人が多いなか、 キスフレ話を、 誰かに聞かれたら、偏見の目で見られかねない。 そして、マジョリティの彼女たちに、 マイノリティのさらにディープな状況をぽろりと漏らしたせいで、 尋問はスタート。 犯罪者よろしく身体を縮こませるのは、私、佐藤舞である。 「……まあ終電無くってね」 あざとい女子テクニックを発動したわけではなく、 本気で逃がしたのだ。 「それでそれで、其の後は?」 嬉しそうに乗ってきたのは、 妊婦のなっちゃんだ。 今夜も来るとは。胎児に影響ないのかな?? 有楽町から程近い場所の イタリアンに着いたのはモリリンと、 なっちゃん、そして私だ。 主催者のレーナは、 今日はゲストを引き連れて、遅れて登場する予定。 それまで、 前回に引き続き針の筵にされそうな勢いで、 キスフレ否定派 お二人の質問攻めに耐えねばならない。 「別に、何も無いよ。 ベッド貸してくれただけだから」 「一緒に、同じベッドで寝たの? キスフレと?」 モリリンの瞳が飛び出そうな程に 大きく見開かれた。 「ううん。 ソファーが簡易ベッドに変わるから別々で」 小栗家のシャワーを借りている間に、 二人がけのソファーは、 引き伸ばされて、 シーツとブランケットを敷いた状態に 変化していた。 「佐藤は俺のベッド使っていいよ」 という小栗の言葉よりも先に、 彼の服と同じシャボンの香りのする グレイの枕に向って、 ダイビングエルボードロップをかました。 小栗のベッドを有無を言わさず陣取り、 ベッドの上で、枕相手に プロレスゴッコを始めた私を放置して、 小栗は、浴室へと消えて行った。 「何も無かったの?」 「うん」 平然と、答えた。 「......そうなんだぁ」 がっくりと肩を落とし、 溜め息をつき残念がる二人。 なっちゃん達としては、 キスフレのままではなく 進展が欲しいようだ。 キスフレの先とは、 ソフレか、セフレか、はたまた恋人関係に発展するか? なっちゃん達としては、 私と彼をマジョリティな世界に引き戻したいようだ。
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