kiss 4 [ 恋と、友情と、]

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あのキスのせいで、 何だかモヤモヤが 晴れない私だったが、 余裕シャクシャクの男に、 ぜってえ負けねえ!! 何故か、対抗意識を燃やし、 ジェル状の透明な顔パックを貼り付けて、 リビングへ登場。 小栗のベッドを 我が物顔で占領している間に、 愚痴って泣いて、 大分すっきりしていたからか、 すぐさま眠りこけ、 翌朝 小栗が起こすまで、 爆睡するという大物振りを披露した。 おっしゃ、狙い通り!!(狙ってない) そして、 彼の作ったトーストと紅茶という 簡易な朝食を流し込み、 昨夜と変わらず、 一緒に会社まで歩いて出社。 私の隣で、小栗は 何度もあくびを繰り返していたので 理由を尋ねると、 私が寝た後 一人パソコンと 睨めっこをしていたと 朝の散歩の際に語った。 今の彼は、 大分仕事が山積みのようだ。 それでもって金欠。 仕方ないから飲み代は、 チャラにしてやるか。 「きっと彼、草食男子なのよ」 分析官のような鋭い目つきで、 なっちゃんが、 小栗=草食男子と、診断を下す。 草食男子? 小栗が? 何人の女子から声をかけられたと、 自慢するような小栗くんが? 元彼との想い出の曲をわざとかけて過去を抉る、 意地悪男子な小栗くんが? だとしたら、小栗くん、相当、捻くれた草食動物です。 「そうは、見えないけどな」 「見た目とか関係ないの。 ようは、押しが弱いのよ。 積極的に 自分の願望を叶えようとしない。 相手の出方を待ってから行動する。 今の男子の典型よね。 とくに舞は レーナみたいなガツガツ行く タイプじゃないから、 お互いアイドリング状態が続いてるんじゃない?」 「アイドリング状態ねえ。 なんかわかる。 草食系男子と草食系女子。 この組み合わせほど、進展、遅そうだもん」 と、モリリンが頷く。 「草食系女子って私?」 「違うとは言わせない。 舞、自分から告白したことある?」 「あるよ、高校の時、先生に」 「それ、ただの憧れでしょ? 高校教師は、数に入らないって」 憧れなんかじゃない。 違うって言いたい。 でも、 言えば全部語らなくちゃならなそうだ。 たしかに、あれ以来 自分から好きだって言ったことない。 失恋の痛手で、どんどん臆病者になってゆく。
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