kiss 4 [ 恋と、友情と、]

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「初めまして、 成宮です。 飯島君とは別チームに 属しているんですが、 良きライバルとして 仲良くさせて頂いております」 そして、 名刺を受け取ろうとした私の手を なぜだか離さない。 名刺.. .だ..け. ...早く... .くださ...いぃ......。 「あの......」 おずおず聞いてみると、 「ああ、失礼」 そういい、ようやく名刺から手を放した。 モリリンにサラリと名刺を配る。 そして、 先ほど小馬鹿にされたなっちゃんは、 かつての合コン女王の血が 騒いだのか、 女王時代の最強兵器、 なっちゃんスマイルで 成宮 弘武にご挨拶。 両腕をスッと成宮氏の前に差し出し、 上目遣いで、 余裕たっぷりに微笑むなっちゃん。 「積田 奈津子です。 今夜お会いできて嬉しい限りです。 実は、 株式について前々から興味があるんです。 もし宜しければ、 成宮さんにいろいろ教えて頂きたいのですが。 構いませんか?」 「あ、はい。そうですね」 さっと視線を振り払って、 そっけない態度で次の人間に バトンタッチされてしまい、 なっちゃんの表情が再度固まる。 かつての女王の燃え滾った熱は あっけなく鎮火されてしまった。 彼女の戦う意思を削がせた成宮氏は、 残り二人の挨拶の間中、 鋭い視線を私へと向けている。 ガン見...されてますけど.....。 顔を上げて見た途端、 視線を逸らされた。 そして再度、 チラリと此方へと視線投げかけられ、 ほんの一瞬だけ 真っ直ぐに其の瞳とかち合って また、ふっと、目を逸らされた。 これって.......もしかして...... 一目惚れされた?? .
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