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携帯電話を掴んだ。
待ち受け画面に映る
高嶋さんの名刺。
鼓動が早まる。
とにかく電話。
雑誌の入った重たい
コンビニ袋を小脇に抱えて
携帯のボタンを押していく。
早く早く。
気持ちが焦り、
其の分何度も番号をミスる。
コンビニが見えなくなったところで、
携帯の発信ボタンを押した。
3コール。
4コール。
...............。
.....高嶋さん...........。
突然
聞き慣れない言葉を発する声が
耳元に入ってくる。
「え?」と声を出すよりも先に、
低い声が耳の奥に響いた。
「動くな」
今度ははっきりと捉えた単語に
背筋が凍る。
背中から伸びた腕が、
私の肩をガシリと掴んだ。
手に握られた携帯電話を、
いとも簡単に毟り取られてしまい、
男の手を離れて、
アスファルトの上を滑っていった。
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