kiss 8 [プレミアムな彼]

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携帯電話を掴んだ。 待ち受け画面に映る 高嶋さんの名刺。 鼓動が早まる。 とにかく電話。 雑誌の入った重たい コンビニ袋を小脇に抱えて 携帯のボタンを押していく。 早く早く。 気持ちが焦り、 其の分何度も番号をミスる。 コンビニが見えなくなったところで、 携帯の発信ボタンを押した。 3コール。 4コール。 ...............。 .....高嶋さん...........。 突然 聞き慣れない言葉を発する声が 耳元に入ってくる。 「え?」と声を出すよりも先に、 低い声が耳の奥に響いた。 「動くな」 今度ははっきりと捉えた単語に 背筋が凍る。 背中から伸びた腕が、 私の肩をガシリと掴んだ。 手に握られた携帯電話を、 いとも簡単に毟り取られてしまい、 男の手を離れて、 アスファルトの上を滑っていった。 .
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