kiss 9 [正直しんどい]

37/40
2664人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
投げやりな言葉を言い捨てた後、 小栗はフウと溜め息をついて私がスライディングしたグレイのベッドに腰掛けた。 スプリングが軋む音を立てたので、 私も再度きちんと姿勢を正して、彼と向きあう体勢を整えた。 イラついたように、髪をくしゃくしゃと掻き、また私を見る。 「....聞きたいこと沢山あるけどさ、小栗、 今日あったこととか、楽しかったこととか イヤだなって思ったこととか、ちょっとでいいから話たいの」 「....たとえば、なに?」 視線を外して、彼は尋ねた。 えーーとぉ.......。 やばい会話.......何にも考えてなかった。 「たとえば.....、その...... 今日、大野君と話したこととか!なんかあるでしょ」 「大野と話したことを、お前に言ってどうすんの?」 鋭く指摘を込めた発言をする小栗にちょっとだけ怯む。 「それはさ、例え話よ、会話のレスポンスが必要だと思うんだけど」 「レスポンス......ねえ..........」 遠くを見つめている小栗が、今にも眠りそうなほどに目を細めている。 「そう!!トークをしよう!!レッツトーク!!」 と、大声で、睡魔に引きこまれそうになっている意識を覚醒させた。 「で......何話す?」 起こされたからか、不機嫌気味に告げる。 4時過ぎに何を話すべきなのか...... その辺は全くもって、予想しておりませんでした......。 「えーと、仕事って、今忙しいの?」 と、無難な質問を投げる。 「ぼちぼちね」 終わり? 「えーーと、夕飯のご飯ちょっと固かったね」 「アレぐらいん固さで、オレはちょうどいい」 一言かよ!!! 「明日、てゆうか今日の予定......ってなに?」 「美津菱重工の本社行って、其の後は藤商社で商談。 それ、スケジュール表に書かれてるよね」 うん。(記入したの私だしね) 「つうかさ、佐藤。もうちょっと違う会話、無いの?」 「違うって?」 間違ってる? てゆうか、いきなり過ぎて、会話思い浮かばないんですよ。(だったら振るな) 「深夜にする会話って、もっと違うよな?」 小栗が呟いた。 私は彼の顔を再度見上げた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!