kiss 10[終わってる女]

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ああ。 ココを出たら高嶋さんに会う理由も何もなくなってしまう....。 せめて最後に一目だけでも拝んでから帰りたい。 そう思っていた私の願いが天に届いたのか、 黒いスーツ姿の高嶋さんが、笑顔で近づいてきた。 きゃーーーー!! 神様!! 私、今日から信心します!! 「佐藤さん、」 「高嶋さん!!!」 抱きつきたい衝動を抑えつつ、出来るだけ近くに歩み寄った。 「捜査にご協力下さり有り難う御座いました。 おかげで迅速な逮捕に結びつきました。遅ればせながらお礼を申し上げます」 高嶋さんが深々とお辞儀をした。 「いえいえ、これぐらいどうって事ないです。こちらこそ色々お世話になりました」 思わず恐縮してこちらも頭を下げまくった。 「それに私に連絡してくださったのに電話に出ることも出来ず、 今日までご挨拶が遅れたこと、なんとお詫びを申し上げたらいいのか」 悔しげに高嶋さんは瞳を潤ませる。 「そんな、気にしないでください。忙しいんですから、仕方ないですよ」 照れ隠しに手をバタバタと振った。 ああ私、舞い上がってる。 頭がのぼせてる。 「犯人逮捕後も、出来れば最後までお付き合い願えると助かるのですが」 「もちろん!最後の最後までつきあいます!!」 あなたの一生に、付き添っちゃいます!! なんてジョークは駄目ですよね....。(本気だろ) 「それで、佐藤さん。 もし宜しかったら今度ゆっくりお会い出来ないでしょうか」 「え?」 思わずフリーズ。 会う? 会うって.........デート??? ジングル.........鳴らしていいの??
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