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マンションの客用駐車場まで杉田君をお見送りする。
「ご馳走様でした」
と律儀な挨拶をする杉田君。
「ごめんね。なんか色々とさ。
聞きたく無い内容だったでしょ?」
食事会の後半は、モリリンが泣いてしまい、
それを宥めることに専念した私に、帰ると告げるタイミングを、
杉田君は、ただひたすら待つだけという状態になっていた。
「いや、女心ってやつの勉強になった。
いろんな人がいるからさ、
いろんな愛し方があっていいと思うし、
彼女も彼が好きだから悩むんだよね」
と大人な杉田君。
「でも俺としては、耳が痛いお話でした」
彼は正直に告げて苦笑いを浮かべる。
そんな杉田君が、ほんのちょっと可愛いなんて思う。
「一晩だけの過ちの関係? 俺達って....」
先程モリリンが言った台詞を引用し、私へと尋ねる杉田君。
「.......うん」
私は頷いた。一晩だけの関係。
愛も恋もなく、
ただ欲望に突き動かされただけの、継続性すらない関係。
「付き合おっか.....」
と、杉田君が呟いた。
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