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其の笑顔には、懺悔と後悔とが、入り混じっている。
きっと、
彼なりのあの夜の責任の取り方なんだろう.......。
けれどそんなものは、必要ない。
「ううん。
だって杉田君は春香さんがスキでしょ?
好きでもないのに、付き合えないよ」
私は微笑んだ。
お互い、心の中には別の人がいる。
あの日は、ミステイクでしかない。
形だけの恋人関係なんて、欲しくない。
杉田くんは、私の顔を暫く眺めた後。
「わかった」
そう言って、ほんの少し口元を歪ませた。
けど、直ぐにいつもの笑顔に戻った。
「じゃ、帰るわ。また会社で」
「うん、またね」
手を振る私。
「過ちだよ、今までの全部」
杉田の車が走り去る様子を眺めながら、私は一人呟いた。
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