kiss 15 [アイシテル?]

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☆☆☆ 思い出すのは彼の冷たい瞳。 「愛してる」 言葉の奥に隠される私に対する、怒り、不快感。 蛇蝎の如く嫌悪されている私に、 もう二度と以前と同じ笑顔を見せてはくれない。 嘘偽りの「愛している」よりも、ずっと激しい苦しみに苛まれている。 「さよなら」 彼の背中が離れていく。 私から、見えない場所へと、彼は消える。 「待って.....」 「待って! 行かないで!! 待ってぇぇぇ~~~!!!」 飛び起きたのは、我が家のベッドではなく、 会社のデスク。 はあ......また、やっちまった。 最初に笑いを堪えられなかったのは大野君。 そして次々に笑いが起きる。 「ったく、佐藤、寝言デケーよ」 と、おじ様、田中様。 「はいはい、佐藤のために待ってやって頂けますか?」 と、 外勤に出ようと鞄を手にしていた若月さんを席へと戻す、神田さん。 渋々、席に何故か座った若月さん(なんで??) 杉田君も笑いを堪えてる。 そして隣で無言の小栗。 口をム一文字にして、私を睨んでまた俯いた。 いつもなら真っ先に笑うのに.......。 今日は笑いもパソコンもシャットダウン。 というのも、本日今朝方、小栗のPCはクラッシュした。 理由は巷で流行のUSB感染型ウイルス。 自分のPCで仕事をしたものをそのまま会社のパソコンに接続、そこからウイルスが蔓延したらしい。 幸いデータ拡散タイプではなかったため、社外にデータが飛んだわけではなく、 画面を立ち上げた途端、フリーズ。 そして画面は真っ暗なまま、立ち上がらなくなった。 今日の午後に技術班が、データ修復と抽出作業を行うが、 念のため全PCのデータバックアップおよびウイルス駆除を行うことにより、 本日第二営業部全員の事務仕事は、ほぼ手付かずとなっている。 其の原因を作った小栗は、 社内PC使用の規定に違反したことにより、 コンプラ部からお小言プラス、 始末書を書かされ、かなりのダメージを受けていた。 小栗から貰ったUSBは、残念ながら廃棄だな......。 「はあ~」 小栗が背後で溜め息をつく。 今日ばかりは、小栗の調子は回復しないだろう。 そして小栗を癒すのは、彼女の役目だ。
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