kiss 15 [アイシテル?]

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「こんにちは。書類お持ちしました」 東野さんの透明感のある声が響いた。 男子達が、そわそわし始めたが、お目当ては野猿ドモではない。 「東野さん、ここここ!!」 私が手招き。 「ごめんねー、今さ、手が離せなくって。 わざわざ総務課から持ってきてもらって助かった~~」 「いえ。丁度時間がありましたので。 お気になさらないで下さい」 彼女は小さな手を、小さく左右に揺らした。 「あ、お茶でもどう??」 椅子から立ち上がり、私の椅子に座るように即した。 「いえ、そんな、」 恐縮する彼女を無理やり席に座らせて、 私は、その場からさっさと立ち去ることにした。 「遠慮せず~。 挽き立てのコーヒーご馳走するから、ちょっと待っててね」 「では、ちょっとだけ」 そして、東野さんをマイ席に置いた状態で、 私は、上手いこと離席。 その隣で、 がっくり落ち込んでる小栗は、ピクリとも動かない。 よおし! 二人きり成功!! とガッツポーズの私。 休憩室で、みんなの分のコーヒーも淹れて、 たっぷり時間をかけてから、オフィスへと戻った。 って小栗いねーーー!! 皆様、 小栗は何処へ消えたんでしょう.........。 私の席にポツンと座る東野さんに、小栗の行方を訪ねた。 「小栗は?」 「外勤に出ると、おっしゃられてました」 「あ......そうなんだ」 っち。逃げやがったな。 「私....... もう行きますね」 東野さんが、椅子から立ち上がる。 ちょっとは、小栗と話せたかな。 進展してればいいけど。 「じゃあ、また」 と、微笑んだ東野さんの異変に気づいた。 あれ。 東野さんの目蓋。 ナンカちょっと目が赤くなってる。 いったい何があったんだ? 「なにか.........あった?」 「な! なんでもないです」 そう、儚げに微笑む東野さんの瞳からポロリと涙が零れ落ちた。 あんん.........の馬鹿!! 小栗......帰ってきたら即殺!!
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