2337人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「私。小栗君に嫌われちゃったんです。
もう....。諦めようと思ってます.....」
「なんで!! 好きなんでしょ?」
つい熱くなる私。
なんで? 諦めちゃうの??
「これ以上、彼に嫌われたくないから」
はにかんで笑った東野さんを見て、背筋が寒くなった。
彼女と同じように笑う私。
『これ以上、嫌われたくない...』
そんな理由で、何度も恋を諦めてきた。
前に進めなくて、足踏みしてきた。
嫌われたくない。
今を....壊したくない。
踏み込んだ先に、あなたがいなかったら、
立ち上がれないから....…。
「協力して貰って感謝してます。有り難う御座います」
彼女は.........私だ。
私は彼女の手を握った。白くて細い指先。
桜貝のようなピンク色の小さな爪。
儚く散り行く桜のような恋を、
私は終わらせて欲しくない。
「もう一回。頑張ろう。
このまま終わらせるなんて考えちゃ駄目だよ」
私が、小栗の気持ち変えてみせる。
小栗、恋.........しようよ。
最初のコメントを投稿しよう!