kiss 15 [アイシテル?]

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モトカノだよ? 嫌いなわけ無いじゃん。 だって嫌って別れたわけじゃないんだし.......。 小栗だって、東野さんの名前口にするたび、ちょっと表情変わるんだよ。 きっと小栗の中で東野さんは消えてないよ。 だって.........私もそうだから。 名前を聞くたび。ドキドキする。 一度好きになった人を嫌いになんかなれないよ。 「でも、どうやって誘えばいいんでしょう」 「うーむ....…。 それは何とかこっちでセッティングする!! 任せて!!」 なーんて、言っちゃったけど、何も決めてない。 杉田君、君にまた使命を与えていいですか? 「あの........、佐藤さん」 「なに?」 「佐藤さんは、小栗君のこと、どう思ってるんですか?」 東野さんの思いがけない質問を、受け止めるまでに時間がかかった。 其の間彼女は私から視線を逸らさないまま、じいっと瞳の奥を覗いている。 心の中まで透けていく気がして、 目を細めて笑顔を作り、壁を造った。 「ただの同僚だよ。 席が隣同士だから、他の同僚より仲はいいけど、ただそれだけ」 彼女の顔が安堵の表情に変わった。 私の胸は高鳴り、胸の奥は激しい痛みを感じていた。 いつか薄れる。 小栗を好きな感情は、きっと、自分の気持ちに嘘をつくたびに薄れていき、 偽りの言葉が真実へと変わるはずだ。 消える。 この痛みも、いつか消える。 辛いのは.......... 今だけだ。
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