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「嘘つくなんて...最低」
「最低で結構だね。
お前のほうこそ、協力するとか言って
焚きつけるだけ焚きつけて挙句の果てに失敗して、
更に追い討ちかけたんだ。
お前のほうがよっぽど酷いだろ」
小栗の言葉は、まるで氷のナイフのように、私の心の奥深くまで抉っていく。
「酷いこというね」
そうだよ。上手く行くと思ったんだよ。
絶対、二人は結ばれるんだと思った...。
だって、東野さんは、
小栗にお似合いの彼女だから。
可愛くて、
素直で、
小栗のこと心の底から好きなんだ。
其の愛に偽りなんか無いんだよ。
逃げてばっかりで、
嘘つきなわたしなんかより、
ずっと、真っ直ぐに小栗が好きなんだよ。
ほんの少しだけ手を差し伸べれば手に入る幸せが、
直ぐ其処に在るのに、どうして捕まえようとしないの?
「いらない」
なんて、どうして言えるのか。
私には、判んないよ。
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