2337人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
会社のセキュリティゲートを通過した後、
エレベーターホールで、
朝っぱらから、気まずい相手と二人きりになった。
コイツと鉢合わせしたくなくて、朝一番に来たと言うのに......
(選択ミス!!)
「おは......よう」
と、ぼそぼそ溢したが、
小栗は無言でエレベーターに乗り込んで、
外を眺められる壁際へと寄ったまま微動だにしない。
エレベーターの8階のボタンを押して暫く黙り込んだ。
そして.....小栗も無言のままだ。
普段なら、冗談を言い合うのに、
小栗は、透明なガラスの外を眺めたまま、私から一番離れた角に突っ立っている。
チン
という、鐘が鳴り、扉が開いた。
私の隣を影が通り過ぎる。
無言の背中は冷たくて....
もう.....声も.....出なかった。
最初のコメントを投稿しよう!