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「佐藤。これ総務課にお願い」
小栗が差し出した書類のファイルを眺め、
それから小栗の顔を眺めた。
朝........無視したのに、普通に話しかける彼。
昨夜メッﾁｬ怒ってたのに.........。
「よろしく」
バサリと書類を机に置いて、小栗は、ＰＣの画面へと顔を戻す。
「小栗」
小栗の横顔に声をかけた。
「なに？」
「.......昨日は......その、」
俯いたまま、
私はモジモジしながら謝罪しようと試みた。
「あ、佐藤そういえば、
佐々木さんが金曜の出張先、名古屋から静岡になったの、確認した？」
「え？ あ。いや、まだだけど」
行き成り仕事の話題を振られて、慌てた。
「新幹線の手配とか、し直したほうがいいんじゃない？
日付近いから、キャンセル料かかるし、」
「あ。そうか、判ったアリガトウ」
「じゃあ、俺、この後部長と外、出るから」
「あ......うん。気をつけて行ってらっしゃい」
小栗は、ほんのすこし顔に笑みを浮かべて、席を離れていった。
......なんか、凄く普通。
けれど、
.........違う。
小栗の被る仮面。
春香さん達と一緒の会食の時と同じように、
作った笑顔だ。
小栗との距離、凄く遠くなってる。
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