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いっちいち厳しいんだよなぁ。
そんなとこも嫌いじゃないんだけどさ。
「ところで壇さんの方は?軍のコンピューターにサイバー攻撃してきたクラッカーの割り出しできましたか?」
そっちの状況を尋ねてみたら壇さんの唸り声が微かに聞こえてくる。
こりゃ煮詰まってんのかな。
『まだだ…どうやらクラッカーは予めアビアノ基地のコンピューターにあるファイルにプログラムを仕込んでおいたようだ…本部のスーパーコンピュータに収集されると同時にプログラムが作動…そのプログラムがネットワークに侵入して軍のファイルを何処かに転送したらしい…こっちは流出されてしまったファイルの確認とプログラムの解析で大忙しだ』
そりゃあ幾ら壇さんと怜次さんが優秀だからって二人じゃ人手不足だよなぁ。
とっとと俺も帰って手伝ってやんないと。
「そんじゃ俺も早めに戻れるように少佐に言っときますよ」
『すまんな…できれば迎えに行ってやりたいんだが…』
「そんな壇さんってば~いくら俺がいなくて寂しいからって~」
『バカ言ってんじゃないバカ』
「なんで二回もバカって言うんだよ!?」
ちょっと怒ったように言ってるけど喧嘩じゃないよ〔いつものこと〕さ。
『ちょっと待った…なんだ怜次?…ああ…そうか…』
壇さんが携帯を遠ざけたみたいで声が小さくなったけど怜次さんと話してるのだけは分かった。
『すまん…そろそろ切るぞ』
どうやら何か進展があったみたいだ。
「OK!そんじゃ俺も少佐のとこ行ってくるんで」
『気を付けて帰ってくるんだぞ』
「んな心配しなくても大丈夫ですって!んじゃ!また後で!!」
『ああ…』
ピッ…
通話を切ると無意識に息が漏れた。
携帯を操作して着信履歴を覗いてみる。
また履歴の欄に壇さんの名前が増えた。
壇さんって凄ぇ心配性だよなぁ。
俺が一人で部署の留守番してる時やロードワークしてる時には必ず電話してくるし。
「…お父さん?…いや…お祖父ちゃんか…歳的に」
ぼやきながら俺は一先ず少佐のいる場所まで走ってった。
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