kiss 17 [Moon Crying]前半

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だって、もっと早く買い物終わると思ってたんだもん。 特売セールなんかで店が混んでるからいけなかったんだ!! 店のせいにするが、全て私の行動の遅さによるものである。 シュシュでラフにアップにしたポニーテールのこぼれた乱れ髪を ちょっと整え、前髪をテグシで撫でつけてから 突っかけていたサンダルを脱いだ。 めちゃめちゃ普段着、しかもメイクは、汗で剥げまくり、 けれど、直すという手段はなさそうなので、そのまま小栗に挨拶。 「い、いらっしゃい」 「お邪魔してます」 そして、 鍋を持ったモリリンが、 テーブルにドーーーンンと鍋を置く。(またかよ!) この前、杉田君が座っていた位置と同じ場所で、 クッションを抱きかかえた小栗がしゃがみこんでいる。 なーんか、変な感じ。 今日の小栗は、借りてきた猫のように大人しい。 モリリンが居るからという理由だけではなくて、 なんか、ちょっと、いつもと違う。 先程買ったばかりの、 食後に出したスイカを食べながら、 モリリンの話に頷くことしかしない小栗を眺めた。
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