kiss 17 [Moon Crying]前半

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いつか、 私と同じように、小栗の中で私の存在が変わるのなら......。 「なーんかぁ~~、願い事でもしたくなる月夜だね」 ガラにも無く、センチメンタルな発言をするレーナ。 そんなレーナに「どんな月夜?」と突っ込んでみる。 「何かを訴えてる。 あなたは何がしたいの? 今のままで満足なの? 何が欲しいのかって問いかけてるみたい」 「月が?」 「そ、月が」 「もし願いが叶うなら!! 今年いっぱいは、政権交代しないでください!!」 レーナが、大声で、叫んだ。 「なにそれ?」 と、突っ込みを入れると、大真面目な顔でレーナが私をみやる。 「結構、切羽詰ったお願いなんだけど」 「さすがバリキャリ。頼み事は仕事なのね」 「そうよ、仕事しなくちゃエルメス買えなくなっちゃうもの」 頬を膨らませてレーナが言う。 「男に貢いで貰えばいいじゃない」 「経済的自立主義なの。男に頼らないわ」 「ヒュー!! 格好イイ~~」 「じゃあ私も!! カッコイイ!! 彼氏くださーーい!!!」 と思い切り叫んだ。 なんだか、大きな声を出したら、ほんの少しだけスッキリとした。 悶々としている感情を常に抱えていたとしても、 ガス抜きポイントは、結構多くあるのかもしれない。 たまに、肩の力を抜いてみるのも、ありなのかも。 そして遠くから、 「俺の! 彼女になってくださーーーい!!」 と、洒落の利いた返事が返ってきた。 ぶはぁ!! と噴出す私達。 露天風呂で腹を抱えて、笑い転げた。 ねえ、レーナ。 こんな女子会も、またしようね。
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