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翌週の月曜に佐藤はいつもと変わらない笑顔をぶら下げて、出社した。
いつものように馬鹿丸出しの笑顔で俺に挨拶をする。
「オハヨー。小栗」
念のため確認を入れる。
「二日酔い平気? 大分飲んでたけど」
「ああ。もう全然へーき。あんまり残んないタイプみたい。小栗は?」
「大丈夫」
今でも酔ってるんじゃないかと思うほど、佐藤は陽気に笑う。
「でさ、小栗に質問なんだけど」
と、佐藤が勿体ぶって、俺に聞いた。
「なに?」
俺がした事が記憶にあって、
非難するのなら、其の勢いで一気に押してしまおうかと考えた。
佐藤さえ、OKなら、其の先に進みたい。
そんな欲が、あの夜からずっと疼いている。
「飲んだ後さぁ、
私、どうやって部屋に戻ったか知ってる??」
....…え。
そこ?
そこから記憶飛んでんのかよ!!!
佐藤の鳥の脳みそにクラクラした。
「イヤーなーんか
目が覚めたらホテルのベッドの上で寝てたから。
でも小栗と飲んでた記憶はあるし、小栗が送ってくれたの?」
子供のような笑顔で佐藤は笑う。
つまり.....。
俺がナニしたかとか、
お前がナニ言ったとか、
まったく記憶吹っ飛んでるわけかよ.....。
んだそれ.....。
「普通に歩いて帰って行ったけど」
意地悪な嘘をつく。
「あ……、そうなんだぁ」
う-んと唸って頭を悩ませていたが、
佐藤は、その場から離れていった。
くそぅ~~。
だったら、最後まですれば良かった...。
オスの本音を今更言っても、最後まで進めなかったのは、
自分の自制心よりも、
佐藤の姿に思わず逃げ腰になったからだ。
あの夜、佐藤が身に着けていたものと、
同じ物を、俺の姉は挙式の前日に、俺に見せ付けた。
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