kiss19 -笑顔の仮面-前半

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-------- 翌週の月曜に佐藤はいつもと変わらない笑顔をぶら下げて、出社した。 いつものように馬鹿丸出しの笑顔で俺に挨拶をする。 「オハヨー。小栗」 念のため確認を入れる。 「二日酔い平気? 大分飲んでたけど」 「ああ。もう全然へーき。あんまり残んないタイプみたい。小栗は?」 「大丈夫」 今でも酔ってるんじゃないかと思うほど、佐藤は陽気に笑う。 「でさ、小栗に質問なんだけど」 と、佐藤が勿体ぶって、俺に聞いた。 「なに?」 俺がした事が記憶にあって、 非難するのなら、其の勢いで一気に押してしまおうかと考えた。 佐藤さえ、OKなら、其の先に進みたい。 そんな欲が、あの夜からずっと疼いている。 「飲んだ後さぁ、 私、どうやって部屋に戻ったか知ってる??」 ....…え。 そこ? そこから記憶飛んでんのかよ!!! 佐藤の鳥の脳みそにクラクラした。 「イヤーなーんか 目が覚めたらホテルのベッドの上で寝てたから。 でも小栗と飲んでた記憶はあるし、小栗が送ってくれたの?」 子供のような笑顔で佐藤は笑う。 つまり.....。 俺がナニしたかとか、 お前がナニ言ったとか、 まったく記憶吹っ飛んでるわけかよ.....。 んだそれ.....。 「普通に歩いて帰って行ったけど」 意地悪な嘘をつく。 「あ……、そうなんだぁ」 う-んと唸って頭を悩ませていたが、 佐藤は、その場から離れていった。 くそぅ~~。 だったら、最後まですれば良かった...。 オスの本音を今更言っても、最後まで進めなかったのは、 自分の自制心よりも、 佐藤の姿に思わず逃げ腰になったからだ。 あの夜、佐藤が身に着けていたものと、 同じ物を、俺の姉は挙式の前日に、俺に見せ付けた。
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