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淡い水色のレースで編まれたガーターベルトが、
太ももの付け根に、花を添えていた。
其のガーターベルトを
旦那の口で外す所を想像しただけで鳥肌が立った。
思い切り顔を歪ませて、渋い顔をして見せる。
「そんなの出したら、犬でさえ貰わないかも」
「失礼ねぇ」
「そんな余興は却下で!」
俺は、ばっさり切り捨てた。
「それにね、ちゃんと他の意味もあるのよ」
「なに?」
「純潔を示すの。私はあなたのものという証ね」
姉はそういって嬉しそうに微笑んだ。
淡い水色のガーターベルト。
それは姉と同じように左足に添えられた愛する人だけが外せる印。
佐藤が身につけていたのは、それと同じだったのかは判らない。
けれど、佐藤は、まだ、皆元の旦那になった男が好きで、
そいつに身を捧げているように感じた。
そいつ以外の誰にも外せない楔を、
佐藤は自ら杭を打ち、寄せ付けない意思の表れに思えたのだ。
それは、
何処までも哀しくて切ない想い。
そんな感情を抱えて、佐藤は今も笑っている。
笑顔の裏側に抱えているものが何なのか知った後、
俺はいつも佐藤を探していて、
あいつの笑顔に触れる度に、その顔をどうしようもなく崩したい衝動に駆られた。
時折見せる瞳の煌き、そして甘くて柔らかな佐藤の唇。
触れたい。
もう一度、あの瞳に捕らえられたい。
俺の中での佐藤は、徐々に膨れ上がっていった。
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