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☆ ☆ ☆
「なに...…、これ?」と言ったのはレーナ。
私も同じく「なに?」である。
其処に映るのは小栗で、
ちょっと照れた表情を浮かべて私を見つめる。
ア、、多分カメラかな。
幾度と無く髪を直した後、小栗は話し始めた。
「あ...テステス~。
えーと、おおっほん、
おっす、佐藤。
オハヨウ、って、夜かも知れないし、昼かも知れないデスし...。
そんなこと、
どっちでもいいけどさ、
お前に、言いたいことがあって、
でも顔見ると、どうしても真面目に話せなくなるし、
佐藤のことだからジョークで飛ばされて終りそうだから、
すげぇ、一方的ですけど
......語って、いいですか?」
緊張しているのか、時折、敬語を混ぜながら小栗は喋った。
「今、佐藤が見てるのは、どれぐらい時間が経った俺なのか、
それは判らないけれど、
唯一、言えるとしたら、
今の俺も変わらずに、佐藤のことを好きだってこと」
「え.......」
小栗が語り続ける。
「この中に在る俺と同様、佐藤のことを想ってて、
いや、今以上に...
その..
大....好きです....」
小栗は恥ずかしそうに笑って、
カメラから、ついと、視線を逸らして俯いた。
髪をくしゃくしゃとして、唇を尖らせて、
ほんの少し小さな溜め息をつく。
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