kiss19 -笑顔の仮面-前半

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------------ 佐藤の存在を知ったのは、大学3年の頃。 夏のインターンシップの5日間の間、 俺が配属になったのは、企画開発部だった。 そこにいたのが佐藤の彼氏であった、阿部だ。 たまたまゼミでお世話になった大学の先輩がいたせいか、 阿部というオトコとも一度だけ飲みに行く機会があった。 阿部は、可愛い大学生の年下の彼女と付き合っていて、 総務部にてインターンシップを受けているんだと、 酔った勢いで口を滑らせた。 結婚まで秒読みなんだぁと、誇らしげに語り、 一緒に撮ったプリクラやら、 ケータイの待ち受けを見せられた。 大学時代の佐藤は、 頬に丸いピンクのチークを入れて、髪もアッシュブラウンに染めていた。 コテで巻いた髪は、何処か背伸びをしている印象を持ったが、 まあまあ可愛い部類ではあったので、 「可愛い彼女ですね」と、率直な意見を告げた。 それから翌年の5月に、この会社の内定を貰い、 大学卒業の時には、すっかりそんな話など忘れていた。 久々にあった先輩が、俺のことを覚えてるだろ? と阿部に尋ねたが、 阿部というオトコは、すっかり俺に話したことも、名前さえ忘れていた。
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