kiss19 -笑顔の仮面-前半

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そこで同期入社となったのが、佐藤を含めて8名。 だが5月病で二人辞め。 翌年には、方向性を見出せずに次々に辞めていき、 気づくと同期は自分と、女子社員二人だけとなった。 どうやら第二営業部には魔物が居るらしい。 その魔物を巧く乗りこなさないと、 第二営業部で生きながらえることは出来ないと、 3つ上である杉田が語った。 たぶん、女子二人は、魔物に気づかずに上手くやっているのか、 それとも、その正体を知っていつつ、 どうにか避けながら日々を過ごしているのだろう。 そして、 意外にも敏感に物事を察知するのに長けているのは、 いつも笑ってばかりいる佐藤のほうだった。 入社当時は、佐藤は、ただの馬鹿だと思った。 社会に関して全くもって、無知であったし、 仕事は亀並みにとろかった。 そして、いっつもへらへらと笑っている。 常に人生ハッピーという佐藤は、 周りからイジられキャラであるからか、 同期入社の皆元さんよりも早く、皆から可愛がられた。 皆元さんは、一歩下がって 佐藤の馬鹿っぷりを眺めている、落ち着いた雰囲気の子だった。 愉しいことしか知らないっていう顔をして、 いつも無邪気に笑う佐藤が、 悩みとか痛みとかを抱えているなんて、 あの頃は、ちっとも思わなかった。
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