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そこで同期入社となったのが、佐藤を含めて8名。
だが5月病で二人辞め。
翌年には、方向性を見出せずに次々に辞めていき、
気づくと同期は自分と、女子社員二人だけとなった。
どうやら第二営業部には魔物が居るらしい。
その魔物を巧く乗りこなさないと、
第二営業部で生きながらえることは出来ないと、
3つ上である杉田が語った。
たぶん、女子二人は、魔物に気づかずに上手くやっているのか、
それとも、その正体を知っていつつ、
どうにか避けながら日々を過ごしているのだろう。
そして、
意外にも敏感に物事を察知するのに長けているのは、
いつも笑ってばかりいる佐藤のほうだった。
入社当時は、佐藤は、ただの馬鹿だと思った。
社会に関して全くもって、無知であったし、
仕事は亀並みにとろかった。
そして、いっつもへらへらと笑っている。
常に人生ハッピーという佐藤は、
周りからイジられキャラであるからか、
同期入社の皆元さんよりも早く、皆から可愛がられた。
皆元さんは、一歩下がって
佐藤の馬鹿っぷりを眺めている、落ち着いた雰囲気の子だった。
愉しいことしか知らないっていう顔をして、
いつも無邪気に笑う佐藤が、
悩みとか痛みとかを抱えているなんて、
あの頃は、ちっとも思わなかった。
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