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翌日、
佐藤と顔を合わせることも恐かった。
普通にしようと努力しても、どうにも巧く出来ない。
俺は佐藤に重すぎる告白をした。
そして佐藤は怯えた様子で俺から逃げていった。
ここまでパーフェクトな振られ方は、人生の中で初めての経験である。
完全に俺は、
佐藤の中で彼氏候補から外れた。
そして俺は何処までも凹んでた。
這い上がれるかどうかなんて....
.....もうわかんねぇ。
リスタートは、リセットじゃない。
全ては、過去の上塗りでしかなくて、
もう俺の表面はデコボコとしたクレーター状態だ。
アイツに見せている顔は、
アバタだらけでどんどん汚く醜く変わっている。
佐藤の俺を見つめる、脅えた様な瞳を見る度、
俺と佐藤は、もう違う世界に居る気がした。
「なあ杉田、お前は、佐藤と真面目に付き合うの?」
と俺は杉田に聞いた。
「え?」
「やるだけやって、ポイッてことは無いよな?」
と、念を押す。
「な、何で.....…知ってんの?」
杉田が驚いたように目を開いた。
耳の先まであからめて、「いやあ、まあ、なんつうかさ、流れ、うん、流れでさ」
なんて照れ始めた。
ふーん。
今、思いっきり殺意湧いた。
「つき...あうよ。意外と可愛いしさ。うん。ありだった。うん」
杉田がてれてれな様子で、俺に佐藤の良さを語る。
「お前にあって、俺に無いものってなんだろ.....…」
と、ぼそりと呟く。
杉田が真面目に首をかしげる。
「うーん。俺。謎謎苦手なんだよね.....」
「いーよ」で付き合い始める佐藤。
恋の始まりなんて、
簡単に始まるもんで、杉田の場所に到達さえ出来ない俺は、
「早く別れろ」
と呪いでもかけるしかない。
佐藤の中で、俺は男じゃなくて、
杉田はオトコとしての対象で、
其の差が俺には、いまいち理解出来ない。
杉田にあって、
俺には無いもの。
優しさ?
笑顔?
わかんねえ.....。
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