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”失敗””玉砕””撃沈”という、
マイナスイメージの単語が、
エラーメッセージの如く俺の脳内に降り注いできたが、
枡酒を飲み干して気合を入れた。
右隣にいる佐藤との距離は、肩が触れ合うかという距離。
ほんの少し手を伸ばすだけで、
アイツの指先にも、唇にも触れられる。
キスをする時に魅せる、
恍惚の表情のアイツを思い浮かべてしまい、再度酒を煽った。
「好き」
と、佐藤の呟きに、慌てて、振り返った。
「え??」
頬を赤らめて笑うアイツを見つめる。
え....…。今なんて言った?
「やっぱり、この鳥わさの和え物最高~~!! 小栗、食べないなら頂戴!!」
箸を舐りながら、ご満悦の佐藤に、
突き出しさえ、手をつけずにいたことを思い出した。
「あ、食べていーよ」
まだ冷たいままのガラス製の小鉢を、佐藤の前に、コトリと置く。
すると、
「ありがとう!!」といい佐藤は、さっそく箸を伸ばした。
食欲……、全く持って湧かねぇ~~。
あいつの言葉一つ一つに反応し過ぎている自分に、
いつもの調子を、全く取り戻せないでいる。
この後....…。
もう一度、佐藤に告げる。
佐藤の目を見て、あの日のカメラの前でした告白を、
もう一度、する。
それで全てが変わるとは思ってはいない。
一度伝えているんだし、あいつは俺の告白を聞いて、平然と受け流したんだ。
次も受け流される可能性は高い。
アイツに伝えたいなんていうのは、ただの自己満足なのかも知れない。
それでも、いい。
俺からの、一歩、踏み出したいんだ。
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