kiss 21 - MoonLight -後半

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”失敗””玉砕””撃沈”という、 マイナスイメージの単語が、 エラーメッセージの如く俺の脳内に降り注いできたが、 枡酒を飲み干して気合を入れた。 右隣にいる佐藤との距離は、肩が触れ合うかという距離。 ほんの少し手を伸ばすだけで、 アイツの指先にも、唇にも触れられる。 キスをする時に魅せる、 恍惚の表情のアイツを思い浮かべてしまい、再度酒を煽った。 「好き」 と、佐藤の呟きに、慌てて、振り返った。 「え??」 頬を赤らめて笑うアイツを見つめる。 え....…。今なんて言った? 「やっぱり、この鳥わさの和え物最高~~!! 小栗、食べないなら頂戴!!」 箸を舐りながら、ご満悦の佐藤に、 突き出しさえ、手をつけずにいたことを思い出した。 「あ、食べていーよ」 まだ冷たいままのガラス製の小鉢を、佐藤の前に、コトリと置く。 すると、 「ありがとう!!」といい佐藤は、さっそく箸を伸ばした。 食欲……、全く持って湧かねぇ~~。 あいつの言葉一つ一つに反応し過ぎている自分に、 いつもの調子を、全く取り戻せないでいる。 この後....…。 もう一度、佐藤に告げる。 佐藤の目を見て、あの日のカメラの前でした告白を、 もう一度、する。 それで全てが変わるとは思ってはいない。 一度伝えているんだし、あいつは俺の告白を聞いて、平然と受け流したんだ。 次も受け流される可能性は高い。 アイツに伝えたいなんていうのは、ただの自己満足なのかも知れない。 それでも、いい。 俺からの、一歩、踏み出したいんだ。
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