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「キャ、キャンドルの炎を、消火に参ります。どうぞ拍手を!!」
と、テーブルラウンドのスタートの決め台詞を告げたのだが、スグ脇から、
「火を消してどーすんの! 灯すんでしょうが!!」
と、レーナに突っ込まれる。
「あ、そっか」
何故か爆笑の渦。
モリリン作のイルカのキャンドルを、
消し去ろうとする、お茶目な輩まで出る始末。
「ごめん」
そして会場内を徘徊していた
私の仕事道具(マイク)をホテルのフロントで確保され無事戻ってきた、
なっちゃんの愛息子ケント君に奪われ、
スピーカーの反射音と共に、彼の鳴き声が盛大に会場に響き渡った。
本当にごめんなさい。
多分、一生かけて償っても無理だろう、
再チャレンジ、あるかな?
「散々でしたね」
レーナもぐったりした様子で、声をかけてきた。
「本当に....…」
ケント君の子守を
なっちゃんの旦那様の代理人宜しく手伝っていたレーナも、
流石に疲労困憊といった様子だ。
「なっちゃんが子供産んだ時は、子供って可愛いと思ったんだけどなぁ~」
と、レーナが、ぼやいた。
「可愛いじゃない、ケント君、ちょっとやんちゃだけどさ...」
「そうね……、きっと自分の子供なら最高に可愛いわよね」
そう呟いたレーナが、笑みを浮かべた。
「うんうん!」
「だよね」
いつかは、私も....…、なんて考える。
まだまだ先の話だけれど、
それでも、
いつかは.....。
「実は、3ヶ月なんだぁ」
とレーナ。
「へ? 何が?」
と私。
レーナが私を見て人差し指を唇に当てた。
「妊娠、したの♪」
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