ラストkiss

16/21
前へ
/39ページ
次へ
「は?? に、妊娠? ええ?? 相手は??」   恋人の話とか、全く聞いてないし!! 「ああ、種は、向井だけど」 向井...…、ってキスフレの向井さん? 証券ディーラーの?(第4話参照) ええ???? 展開についていけません! 「てゆーか、種……ですか」 「そ、子供だけ欲しくってね。向井とは結婚出来ないし」 「え.....なんで? 妻子持ちとか??」 それも聞いてないし!! 「違う違う」 「証券ディーラーの宿命ってやつかな。 社則でさ、 勤務する者の配偶者は、 仕事であろうと、 個人的であろうと投資は出来ないって決まり事があって、 まあ、個人的に投資をする場合、 地場出しだとか規制は、社員本人にも色々別に在るんだけどね。 つまりは、結婚するなら、 どちらかが会社を辞めて、 株の世界からも足を洗わなくちゃいけないってことなのよ」 そんな、規定があるんだ....。 「私は、今まで築いたキャリアも、 育て上げたスタッフも切り捨てたくないし、 アイツも上昇志向高い奴で、 譲歩するつもりなんか毛頭無いから....。 2人とも職場を離れないってわけで、 この子は、自分の手で育てようって決めたの」 「レーナ。 でもそんな簡単に、一人で育てるなんて、そんな....…」 レーナの手を握り締めた。 私の手をポンと叩いて、握り返した後、 身体の中にある小さな息吹をさすり、また私を見た。 「勘違いしないでよ、欲しくて作ったのよ。 向井のDNAなら、 相当優秀な子供が生まれるだろうしぃ。 産んでスグ職場復帰する手はずは取ってあるの。 だから環境も問題なし、舞の心配すること何も無いから。 まあ... 本当は、 成宮のDNAが良かったんだけどね」 ぼつりと漏らした。 「ええ? な、成宮さん??」 式場で、成宮さんの姿を新郎側の席で見かけた。 司会をしている為、成宮さんとは会話していなかったが、 いつもと変わらない笑顔で私に笑いかけて、 静かに式の行く末を眺めていた。 配偶者は、......まだ居ない様だ。 レーナは私の慌てふためく様子を、クスリと笑った。 「冗談よ、アイツ私には興味ないもの、欲しくてもくれないわね」 「それって、恋ですか?」 と、レーナの言葉を鋭く追及した。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2542人が本棚に入れています
本棚に追加