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「本当に欲しい愛の形って?」
成宮さんが覗き込むように、私の言葉に疑問を這わせた。
其の視線を受け止め、彼を見上げる。
「本当は私、誰かを深く愛したかったんだって.....。
愛されることよりも、彼をもっと愛したかったんです」
今なら言える。
小栗が好きだって気持ち。
彼を愛している。
彼を愛していると想うだけで、心が満たされる。
傷ついた想い出さえも、愛おしいと思えるのは、
彼がいるから.....。
こんな想いを感じられるようになったのは、
小栗と、出逢えたからなんだって...…。
ようやく、気づいた。
「........信じられる相手と、より深い愛を分かち合う。
見返りを求めるのではなく、愛される欲望を叶える為でもなく、
2人で愛を紡ぎあって作り上げていく、そのためにも、私が彼を愛する。
それが、きっと私の求めていた愛の形なんだって、判ったんです」
成宮さんは私を見つめて、ほんの少し目尻を下げた。
私は頷き、言葉を続ける。
「彼の深い愛と同じぐらいに、
今度は、私が愛したい。
彼のことを、ゆるぎなく愛したい。
例えどんな未来が待っていようと、私は彼を想い続けたい、
今はそう、思うんです」
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