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小栗は言った。
「離れていても佐藤をずっと愛してる。
例え、どんなに離れていても、何年経ったとしても、
俺の気持ちは変わらない」
小栗はそう言って優しく私の頬を撫でた。
「私も同じ気持ち。小栗と一緒だから……」
彼の胸を抱きしめ、彼が乗った飛行機を見送った。
私も変わらない、何年経ったとしても彼が好き。
私には、自分の気持ちに向き合うためにも、
彼の想いを受け取れる女になるためにも月日が必要で、
彼から離れて過ごした時間は、
人を心の底から愛するための準備期間。
きっと長い年月のうちの一瞬の瞬間(トキ)になる。
「私は彼を愛してる。だからどんなに離れていても、強くいられるんです」
「彼を想う愛で、強くなれる....…か....…」
成宮さんが微笑む。
「ちょっとだけ、嘘ついたね?」
「え?」
「本当は寂しくて、会いたくて堪らない。
けれど、そう言ったら崩れそうだから、言わない。違う?」
突き刺さる視線。全てを見透かす成宮さんの瞳には、
私の心の奥に隠したものを、いとも簡単に引き出してしまう。
「そんなこと....…」
彼の視線から逃げて、否定をするが、付け焼刃でしかない。
「そんな嘘。もう、つかなくていいよ」
私の肩に、成宮さんの大きな手のひらが触れる。
力強く、私の肩を握る、彼を見上げた。
「な....…、成宮さん???」
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