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俺達の時間は限りなく短くて、
数時間後には、
この場所から離れなくちゃならない。
「好きだ」
という言葉を何度言っても、
伝えきれない俺の想い。
「ずっと前から、こうしたかった...」
佐藤に伝える。
「.....うん」
佐藤は頷き、俺に微笑を返す。
内心の激情を吐露するように言葉を放ち、彼女の艶やかな髪に触れる。
「好きだよ」
耳元に落とすのは、佐藤への想い。
舌先で耳朶をくすぐると、
佐藤は小さく震えて、甘美な吐息を漏らした。
「.....ん.....」
何度も繰り返す言霊と、何度も擦り合う柔らかな肌。
次第に高揚していき、騰がる呼吸とアイツの悲鳴。
言葉と対となり、もはや隠す術もなく、
露にむき出しとなった感情の螺旋は、更なる高みへと強く速度をあげて突き進んでいった。
「愛してる」
「愛してる」
「愛してる」
何度も、告げる想い。
視界は霞み、アイツの温もりに溺れる。
「好き....…、だ。.愛してる……」
それでも、佐藤は気持ちを言ってはくれない。
「小栗が好き」たった其の一言が、アイツから貰えない。
「大好きなんだよ、佐藤....…」
言葉は、届かない。
俺と佐藤の距離は、まだ、開いたままだ……。
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