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船体が、滑走路のセンターラインへと入ると、
轟音と熱風を巻き起こして、
太陽へと突っ込むように飛び立った。
突風が吹き、緩んだ指先から、海の王国が描かれた紙が、空を舞う。
「あ!!」
飛び上がって追いかけたが、
あっという間に風に乗り、飛行場を飛び去ってしまった。
鉄柵の外側で、
飛行場の滑走路から、遠く離れた緑の芝生の上を流れていく魚達を呆然と眺めた。
「嘘だろ、……まじかよ」
力無くしゃがみこむ。
しばらく呆然としていたが、
無理矢理、気分を切り替えて、
置き忘れてた荷物を取りに、ベンチへと戻った。
再度腰掛け、
「はあ」と大きく溜め息をつく。
佐藤がくれた唯一の欠片。
俺にとって、あの絵は宝物だった。
「はあぁぁ~~~」
もう一度、肺の奥底から全ての酸素を吐き出すかのような、深く長い溜め息をついた。
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