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突然、ドスンという音を立てて、
3人がけのベンチに腰掛けた人物へと視線を向けた。
ピンクベージュのパンプスを履いた長い足が見える。
髪が風で靡くのを、抑えつけながら、
俺を睨みつけるように見つめる女の姿が目に入った。
瞬きを何度もしても消えない姿は、俺の願望でも幻でもない。
「さ....…、佐藤??」
「佐藤ですけど? なにか?」
いつものように半ギレ気味に、
可愛くない台詞を吐く佐藤が、俺の隣にいた。
「な、なんで、此処に?」
「言いたい事があって、
どーしても言わないと、
後々、友達に半殺しにあうことに、なりそうなんだけど」
佐藤は、唇を尖らせて遠くを見つめながら、文句を口にする。
「へ?」
「小栗に言っていい?」
「な、なに??」
一瞬、頭の中を過ぎる過ちの数々。
今更ここで、佐藤に何を言われても受け入れるしかないだろう。
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