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「実は小栗から貰ったUSBね。中身、見てないんだ」
佐藤の言葉を噛み砕くのに、時間がかかった。
「...…は?? なんだって??」
徐々に高揚していく顔を俺に向けて、怒ったようにあいつは言う。
「だからぁ~、USBの中、見てないから!」
佐藤の告白に、声を枯らした。
ようやく佐藤の言葉の意味を理解した俺は、足元が、脆く崩れていくのを感じた。
つまり佐藤は、俺の告白を知らなかったってことで、
俺の気持ちを、コイツは今も知らないってことで......。
「あ.......。ありえねえ........」
俺はあの『告白』のせいで、どれだけ足踏みしたと思ってる?
忠実に『告白』を守ろうとした俺の努力は??
俺の気持ちを、
佐藤が知っていると思って行動していた全てが、空回りだったことに、気づいた。
宝物を失った+さらに受けた衝撃 で、
ベンチに深く身体が沈んでいった。
「だ、だから中に何が入ってるのか教えて」
と、佐藤が告げる。
........あれ? 待てよ?
「ちょっとまて......。中身はCDっつったよな?」
「いや、其の、それ以外のヤツです」
と、視線を泳がせて佐藤が、ぼそぼそと漏らした。
佐藤の態度の不自然さに気付き、頭の中に光が差し込む。
「あ…....、嘘つき!!」
「なによ!!」
ふんぞり返って、佐藤が鼻を鳴らした。
「中に何が入ってるか、知ってんだろ」
「な、な、何の話?」
「そうじゃなかったら、何が入ってた? なんて聞かないよな?」
「う」
佐藤は、無言になり、俺から思いっきり顔を背けた。
案の定、ぼろ出したな。
「何で嘘つくんだよ、意味判んねぇ」
何が言いたいのか、さっぱり判らない。
いつもそうだ、
コイツの考えはまったく持って理解できない。
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