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「けちー、だって彼氏じゃないんでしょー?」
「…彼氏じゃないけど、駄目。お姫様が決まっている王子様を紹介されても嬉しくないでしょ?」
…そう、お姫様の決まっている王子様を好きになっても、望みなんてない。
傷ついて、ボロボロになって…
人魚姫みたいに、気持ちが泡になって消えるまで、もがき苦しみ続けなければならない。
そんなの、ゴメンだ。
「…なぁんだ。決まった人がいるならそう言ってよ」
…そう言って、興味を無くしたように友人達は昨日のテレビについて話始めた。
……切り替え、早い。
私は溜め息をついて、頬杖をついた。
窓の外を漂う雲の流れを目で追いながら、何処か懐かしく胸に広まった痛みに戸惑う。
…まるで、その痛みを知っているような感覚にゆっくりと蓋をするように、私は目を閉じた。
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