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…prologue.
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…赤と青の狭間で揺れる空。
闇を抱いたコンクリートの道を急ぐ私はふと、足を止めた。
…すすり泣く声が聞こえる。
普通に考えてホラーな展開だが、その時の私は気になった。
それが、男の人の声だったから。
…それに、少し懐かしい気がする。
遠い昔に会った事があるような。…そんな、不思議な感覚。
切なさに震える、繊細さを含んだ声に耳をすませると…
それは、小さい頃遊んでいた公園の方から聞こえてくる。
…自然に足が其方に向いた。
風に揺れるブランコの脇、仕切りに置かれた鉄パイプに腰掛けた男子高校生。
…揺れるダークグリーンの静かなざわめきのなか、浮かび上がった白いシャツと震える肩。
その細い線が折れそうで、壊れそうで…
吸い込まれるように近づいた私は、気が付いたらハンカチを差し出していた。
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