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「…置いて帰っちゃうなんて、酷いよ?」
…そう言って、ゆずる君は泣きそうな顔で笑った。
……私は駆けよると、握りしめていたハンカチでゆずる君の濡れた髪を拭き取った。
「……実範さん。さっきの、違うから」
そう言ったゆずるくんに、涙腺がゆるむ。
「…お姫様置いて来ちゃう王子様なんて、聞いた事ないよ」
「…じゃあ、俺が地上初だね」
…その言葉に涙が引っ込んで、声を上げて笑い合った。
「でも。なんで、綾乃さんあんな事…?」
…その私の言葉に、ゆずる君はなんだか苦い顔をした。
「うん。…俺が告白してから、間があいてないからだって。…1ヶ月は自分の事を思って、落ち込んで欲しいんだって」
……ナニソレ。
「女の子って、みんなそうなの?」
「…気持ちがない人ならとっとと忘れて欲しいって思うと思う。…綾乃さん、ゆずる君に気持ちが向いて来てるのかも」
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