戸惑いと本音。

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    …奇妙だけど、居心地の良い関係がずっと続いて欲しい。 けど…、王子様はお姫様の為に存在してる。 どんなお話もそう。 …ゆずる君の告白が成功したら、私がゆずる君から離れるのが、ゆずる君の為だ。 分かってる。 けど。それが、少し寂しいと感じた。 …喜んであげなければいけなくて、なのに今の私は心の底から喜べるのか微妙だ。 居心地が良すぎて。 ……駄目な魔法使いだね? 電車に乗り込んで、近くの椅子に座ると目を閉じた。 …あと、5日。 でも、今日は終わったから4日。 ゆずる君の告白は、きっと成功する。 …見かけなんて、変わるよ。 だって、ゆずる君は今まで見せようとしてなかっただけだもの。 …銀のフレームの奥の瞳は、いつだって優しい。 …だから、私は私のできる事をしてあげよう。 私は彼の魔法使いなのだから。 …電車に揺られながら、目を向けた窓の外では、窓に打ち付けるような雨が降り続いていた。  
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