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…実範さんの誤解は解けたけど、なんだか釈然としないモノが胸に残っている。
今日見た映画の王子のように、全力で綾乃さんを好きだと胸を張って言えるのだろうか?
…一生懸命になってくれてる、実範さんに申し訳ない気持ちでいっぱいの自分に気づく。
頭の中がもやもやする。
髪をかきあげて、お湯にブクブクと沈み込みながら…
このもやもやをどうすれば振り払えるのか、考えた。
…まるで自分が駄目になっていく感覚。
…けれど、考えても答えがどのような方向のものなのかすら分からない。
「………実範さん、風邪引かなければいいけど」
…帰りぎわに、自分のカーデガンを俺にかけてくれた実範さん。
自分の事なんか二の次で、俺の心配をしてたな。
…彼女からは、学ぶ事ばかりだ。
…きっと。こんなに気持ちが釈然としないのも、俺が未熟だから。
未熟なら、学べばいい。
解決策はきっと出てくる。
そう決意して、俺は浴槽から出た。
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