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…でも、きっと、まだ巡り会っていないだけ。
この世界には私の為だけに用意された王子様がいると、心のどこかで信じていた。
「……俺は外見がこんなだから、ゴメンね?私、面食いだからって言われて。でも、そんなにすぐ気持ちを捨てきれなくて」
………うん。私ならそんな女ゴメンだ。
…けれども、目の前のこの人にとってはまぎれもなくこの広い世界のたった一人。
代えきかない、お姫様なのだろう。それならば…
「……分かった。じゃあ、もう一回告白しよう」
「え?」
「……あなた自分が言うほど悪くないよ。私が協力する」
……そう言って、にっこりと笑んだ。
「協力、って一体何を?」
「見かけで印象をガラリと変えるのよ。……名付けて、逆シンデレラ作戦。必ずその女をギャフンと言わせてやる」
…何故だろう。助けたいって思った。
細い肩が小刻みに揺れるのをみた瞬間。心臓が掴まれたみたいに苦しくなった。
だから…
「えっと、俺は別にその子にギャフンと言わせたい訳じゃ…」
…助けさせて?あなたを…。
「…いいから。一人より、二人で考えた方が絶対いいよ。やらないで終わるよりマシでしょ?」
…そう言った、私にしばらく逡巡して彼は頷いた。
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