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…鮮明な映像。頭を支配する感情。
地面を滑るマントや絹のドレス。
…まるで、昨日の映画。
その影響で見た夢かもしれないけど。
…感情も感触もリアルで。
背もたれに寄りかかった俺は、ぎゅっと布団を握りしめた。
会いたくて、会いたくて…。
まるで、夢の人物の感情を俺が引き継いで引きずっているような感覚。
…怒りと憤りと悔しさと、それから、懇願。
純粋な願いと、現実の不条理さ。
…大切な人を失った人って、こんなにも空っぽになれるんだな。
だるい身体を起こして、階段を降りると顔を洗った。
…そうして、少しづつ。身体を現実に戻していく。
恋愛って、苦しい。
……俺は、俺の大切な人を守れる人間になりたい。
そんな風に思って気持ちに区切りをつけ、その夢の事は家を出る頃には忘れていた。
…そう。あの時までは…。
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