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…そう、ただの夢よ。引きずる事は、ない。
人混みも、アスファルトも、高層ビルも、車も、電車も安心する。
あの時代にないモノだから。
高い高い空。
曇りも淀みもない。真っ直ぐな蒼。
…それでも。夢の中のもう一人の自分がすぐ後ろにいるような嫌悪感を胸に抱きながら、その日の学校生活を過ごした。
…時刻は、16:30分。
…いつもの喫茶店に入って、いつもの席につくと、紅茶を注文して、ケータイを開いた。
ブックマークから、サイトに接続して、読み途中のケータイ小説に目を通す。
゛こうして、お姫様は王子様と末永く幸せに暮らしました゛
…物語を締めくくるのは、いつも、この言葉。
お姫様は大好きな人と、幸せな時間を手に入れるんだ。
「…どうしたら、なれるんだろ?」
魔女がお姫様に…。
「……何に、なりたいの?」
…不意にかけられた言葉に顔を上げると、ゆずる君が覗き込んでいた。
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