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…あれは夢の中の話なのに…。
「…ゆ、ゆずる君?どうしたの。…やっぱり、昨日ので体調悪くなっちゃった?」
…心配をかけてしまった。
…俺は涙を拭くと、顔を上げた。
「…大丈夫。ちょっと目にゴミが入っただけ」
「本当に?…具合悪いなら、明日でも大丈夫だよ?」
「本当に大丈夫、だから」
…そう言って微笑んだ。…離れたくなくて。
頭の中では活動写真のように、夢の中の映像が流れている。
……怖い。
離れた次の日にいなくなった彼女のように、消えていなくなっちゃう気がして…
「…それにしてもなんで、かすみ草?」
…確かめる為とは言えなくて…
取り繕った笑みを浮かべる。
「……わかった。綾乃さんが好きな花なんだね」
…実範さん、ズレてる。
斜め上の回答に、苦笑して話をそらす。
「…で、今日は何をするの?」
「今日はね?…ジャーン」
…そう言って、実範さんが取り出したのはレターセットだった。
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