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その姿に微笑んで、考えるように彼の姿を眺める。
「…その制服、松林学園のよね？」
………脳裏をよぎったのは、駅前のポスター。
そのポスターには、一週間後の松林学園の文化祭が告知されていた。
「そうですけど」
……彼の瞳が揺れる。
その瞳は、私の質問の意図を探ろうと必死だ。綺麗に縁取られたアーモンドのような瞳に映し出された戸惑いに、思わず微笑む。
怯えながら探る瞳が、警戒心の強い小動物のようで可愛い。
「……一週間後が文化祭だよね？」
「え？」
「…舞台発表とか、ないの？」
「ありますけど？」
「それって、今からでもエントリーできる？」
「はい…って、まさか？」
…そう言った彼に、にっこりと笑う。
「頑張って」
…そう言った瞬間、彼の顔色が変わった。
真っ白になって、口をパクパクさせている姿はかなりツボだ。
…この人可愛い。
クスクスと笑いながら、左手を差し出した。
「私は坂渓実範(さかたにみのり)よ？あなたは？」
「小林ゆずる(こばやしゆずる)です。実範さん」
手と手が、がっちりとかみ合った。
……これは、そう。…契約。
…私が彼を文化祭とゆう名のお城へ連れて行くための。
…私が魔法をかけてあげる。
あなたを変える為の、魔法使いに私がなる。
その感情に、何らかの引っかかりを感じながら。
…こうして、私と彼の逆シンデレラ計画が始動した。
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