始まりは、踏みつけられたラブレター。

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始まりは、踏みつけられたラブレター。

〈-ゆずるside-〉 …秋風がこの葉を散らす。 文化祭の準備が意外と時間がかかってしまって、俺は急いでいた。 待ち合わせ場所は、帰り道の途中にある喫茶店。 ガラス張りの店内で優雅に紅茶をたしなんでいる実範さんを見つけて、店のドアを開ける。 落ち着いた店内に、カランコロンとベルの鳴る音が響いて… 店の人の゛いらっしゃいませ゛の声とともに、俺は店に足を踏み入れた。 「…実範さん、遅れてごめんっ」 …そう言って荷物を置くと、実範さんは此方を見てにっこりと笑った。 「いいって。文化祭の準備でしょ?それより、座って」 …窓から差し込む夕日に、サラサラと透ける茶色の猫っ毛。視線に気付いて見上げる瞳は、望月のようにまん丸で。それを縁取る睫毛はバサバサで長い…。 …俺は未だに、何故こんな可愛い子と冴えない俺が一緒に居るのかという状況がのみこめていない。 ……そう、俺がこの人と知り合ったのは昨日のことだ。  
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