ばあちゃんが死んだ

12/26
前へ
/27ページ
次へ
オレが小さいころからおばあちゃんは時々オレの頭に直接語りかけるような遊びをした。 「おばあちゃん今光一に何ていったでしょうか?」 「んとね…光一におもちゃ買ってあげるって言った!」 「ざ~んね~ん、光一はいい子だって言ったんだよ」 はじめのうちはあてずっぽうで答えを言うたわいのない遊びだった。 そんなことを繰り返しているうちにいつしか幼かったオレの気持ちの中におばあちゃんの思っている事を当ててやると言う意欲が芽生え、だんだんと正解する頻度が上がってきた。 おばあちゃんの口から 「おみごと!正解」 と言われると嬉しくてたまらなかった。 ある日ひとつもはずさずおばあちゃんの思っている事(頭の中の声)を当てる事が出来た。 おばあちゃんはいつもの優しい笑みをうかべ 「大正解のご褒美だよ」 と、その時にオレが一番欲しいと思っていたおもちゃをくれた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加