The evil that men do

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目が覚めたのは、午後6時。ちょうど、シャイニー・デイの開店時間だ。 それを確認すると同時に、意識をしっかりと覚醒させる。以前、この街に滞在を始める前――――一人で各地を流れていた頃からの癖だ。すぐに意識を切り替えられなければ、近くに命の危険が迫っていることだってあった。 さっさと起き上がり、念のため、カタナと銃を携帯し、部屋の外へ出る。そのまま階段から下りてバーへ入ると、すでにアリサはカウンターの中でなにやら料理を作っていた。 もう客が来たのだろうか。ここシャイニー・デイは確かに人気のある店ではあるが、開店と同時に客が来るのも珍しい。それを認識するのと同時に、その客らのものらしい、下卑た笑い声が耳障りに響いた。 「……おはよ、アリサ。今日はもうお客さん来てんだね」 「あのお客さん、開店前に来て、無理やり開けろって……」    慌しげに動き回るアリサに、のんびりと話しかける。だが、どうもそれどころじゃないらしく、彼女は一瞬、泣き顔を見せはしたが、作業をとめる気配はない。
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