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話しかけてきた常連の客に、にゃーお、と両手を猫のように構え、鳴きまねをして見せる。
その様子に笑いながら歩いていた常連の客が、柄の悪い男たちの横を通ったときだった。客が、男たちがだらしなく通路に投げ出していた足につまづいた。
「おい、おっさん! どこ見てあるいてんだ、いてーだろうが!」
男たちの一人が勢いよく立ち上がると、けつまずいて倒れていた客の襟首をつかんで、むりやり立ち上がらせた。
「す……すいません」
「すいません、じゃねえんだよ。謝るんだったら、誠意を見せてもらおうじゃねえか、ああ?」
やっぱりね、と舌を出しながら、セトミは立ち上がる。こきこきと軽く肩をまわしながら男たちの下へと歩み寄る。そして、客をつかみ上げる男の顔を、下から鋭くにらみつけた。
「ああ? なんだてめえ」
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