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「あーらら。いつも思うんだけど、それって、そんなに効くの? まっ、私には一生わかんないけどね、残念ながら」
まったく悪びれた様子もなく舌を出すセトミの表情に、不意に緊張感が走った。今までこの乱闘をはやし立てるような声をあげていた客たちから、今度は悲鳴があがる。
……殺気。
ゆっくりと、振り向く。そこでは、男たちのうち、残った一人が腰のハンドガンを抜いて立っていた。
「こ……殺してやる」
ふう、とセトミは一つため息をつく。やけに斬った張ったのやり合いが多い日だ。まったく、どうしてこうも皆、簡単に命を投げ出すのか。まあ、昼間のは自分から斃しに行ったのだけれど。
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