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イライラする。
無性にイライラする。
そのせいかカタカタとパソコンのキーを叩く指に、いつも以上の力が入る。
ふと指先に目を向ければ少し伸びた爪。
そろそろネイルサロンに行かなくてはいけない。
土曜日の午後予約を入れようと、分厚い手帳の土曜日の欄に予定を書き込んだ。
パタンと手帳を閉じ、今日何度目かのため息をついて、もうとっくに冷めてしまっただろうコーヒーに手を伸ばした。
「岡本、いい加減にしろ！ お前が1人でイライラしたら、職場の空気が悪くなる」
少し離れた所から荒木課長がため息をついた。
荒木健(ｱﾗｷﾀｹﾙ)35歳。
バツイチ、らしい。
私の上司で憧れの人。
「はい、すみません」
とりあえず謝ってカップを口に運ぶと、その中は空で。
また小さくため息をついた。
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