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あの無表情な荒木課長が心配している顔ってどんな顔だろう?
怒る顔さえ眉間のシワ以外に普段と変わることがないのに。
眉を下げるんだろうか?
どんな顔なのか見てみたい気もする。
「いつも笑顔の美鈴がそんな泣きそうな顔してるから、課長が気にしてちらちら見てるの気付いてないの?」
「ウソ、全然気付かなかった」
痛みを忘れるためには仕事に集中するしか手がなくて、正直周りに気を配っている余裕なんてなかった。
差し出されたあぶらとり紙を受け取って、鏡を見ながら額や頬を押さえる。
痛みを堪えているせいか、嫌な汗をかいている気がした。
「よし、完成」
あぶらとり紙を丸めてゴミ箱に放り投げた。
「お化粧直さないの?」
いやいやまだ仕事中だし。
「今はこれで十分。先に行くよ」
まだまだ念入りに化粧直しをしている弥生を置いてオフィスに戻る。
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